2021年03月13日

2A3シングルアンプ回路検討(5)

カップリングコンデンサーはEL34やKT88のシングルアンプならドカーンと0.47μFとか0.68μFを使うところだが2A3等の直熱管では少々事情が異なる。

直熱3極管はドライブ電圧が大きくなるとグリッドに電流が流れ始めるためカップリングコンデンサーに充放電電流が流れるブロッキング現象が発生する。このため最大出力付近で歪が急激に増えて具合が悪く、カップリングコンデンサーはあまり大きくしないというのが(昔は)定石になっていた。
ネットで作成例を調べると0.1μFが最も多いが、中には1μなんてのもある。大丈夫だろうか。低域を伸ばしたい気持ちはわかるが若干疑問が残る。
それではスバリ何μFが良いのだろうか。

書籍を調べると「魅惑の真空管アンプその歴史・設計・製作」(無線と実験編・浅野勇監修)に2A3シングルMLF式3.5Wアンプの作例があるがここでは0.05μF+270kΩとなっている。
さらに、「ステレオアンプ製作集」(初歩のラジオ別冊)にある2A3シングル・ステレオ・パワー・アンプの製作(藤本伸一)では0.047μF+470kΩとなっている。記事中に
「グリッドの抵抗は470kΩとして、ドライバー段とは0.047μFで結合されます。このコンデンサーはあまり小さいと低域が出なくなりますし、かといって大きすぎるとブロッキング現象を生じてくるようになりますので、せいぜい0.033μFから0.047μFが適しており、これより大きくしますと影響がみられるようになります。」
とあります。
当時、この製作例と全く同じ回路で三栄無線からパーツキットが発売されていました。

本アンプでは諸先輩方の言いつけ通りに0.047μF+270kΩにしようと思っています。

2A3シングルアンプ回路検討(5)


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