2007年09月30日

初段

ST70の初段は7199の5極管部である。
B電圧305V、負荷抵抗270kΩ、プレート電流0.8mA程度で標準的な動作だ。

スクリーングリッドには1.5MΩを通して電源を供給している。
スクリーングリッドとカソードを繋いでいるバイパスコンデンサーは0.05μと小さいが1.5MΩとのと時定数によるカットオフは2Hzと十分低い。
現代的な設計では大容量のケミコンを入れるのだが、ケミコンよりフィルムコンデンサーを使ったST70には好感が持てる。

カソード抵抗にはバイパスコンデンサーが入っていないので、電流帰還によるゲインの低下があるが、それでも100倍以上のゲインはあるだろう。

B+からカソードに330kΩの抵抗が入っているがこれは、ハム打ち消し用だろう。
ついでにこの電流による電圧降下でカソード抵抗を小さくできるので、電流帰還も多少少なくなっているはずだ。
ハム打ち消し抵抗がちょっとめずらしいが、現代では電源のリップルを十分小さくするのが筋だろう。

次は、負帰還と位相補正を検討しよう。
  


Posted by はりー at 19:20Comments(0)EL34

2007年09月23日

元気なサガリバナ

台風で芽が全部吹っ飛んだサガリバナだが、その後葉が次から次に出てきて、ついに新しい蕾ができている。
ちょっと季節はずれな感じだけど、このままで行くと後一週間くらいでは花が咲くのではないだろうか。
どうなっているんでしょうね。
  


Posted by はりー at 19:03Comments(0)サガリバナ

2007年09月22日

ドライバー

ST70のドライバーは7199というMT管が使われている。
5極管と3極管の複合管で前段はこの1本で済ましているところが、潔いというか、
シンプルで格好いい。
ドライバーの3極管は内部抵抗が8.1kΩ、μが17で12AU7相当だろう。
位相反転はPK分割回路なので、ドライブ電圧が十分に出るか心配なところだが、
B電圧が375Vと高いので問題は無いようだ。

http://www.nj7p.org/Tube4.phpから7199の特性図を入手して
負荷抵抗94kΩで負荷線を書いてみると、グリッド電圧0Vと交わるプレート電圧は
約40Vなので有効なプレート電圧は335Vになる。
真ん中に動作点を取るとすると、±167.5V(P-P)は振れる。

実際はEL34のグリッドリーク抵抗による負荷(交流負荷)やばらつき、カットオフ電圧等を考慮して
これの半分が実用的と考えると出力電圧は±80V位だろうか。

PK分割は上下でさらに半分に分けるので片側±40Vになる。
EL34のバイアス電圧は-33.5Vなので十分にドライブできる計算だ。

7199はあまり聞かない球でこのような複合管としては6AN8や6BL8、6U8などがおなじみではないだろうか。
今回は6GH8Aを入手したので、これを使うことにする。

  


Posted by はりー at 19:43Comments(0)EL34

2007年09月16日

出力段

ST70の出力トランスはA-470という型番の物で20Hz-20kHzで35Wとなっている。
重さが約3.2kgなので、日本製のトランスとすれば50Wクラス相当と思われる。
一次インピーダンスは4.3kΩ、UL接続の固定バイアス動作、B電圧は415Vでアイドリング電流は50mA、
これで最大出力は35WなのでEL34は大出力を得やすいようだ。
また、出力管のカソードに共通で15Ωの抵抗が入っていて、ここの電圧を1.5Vに調整するようになっている。
バイアス電圧は、-32Vプラスこの1.5Vで約33.5Vといったところだ。

前に述べたように、ST70は電源が弱いので最大出力時には電源電圧が数10Vは低下すると思われる。
面白いことに、ダイナコにはST70をモノラルにしたマークⅣなるアンプがあるのだが、これは最大出力が40Wになっている。

新たに作る場合、出力トランスはクローントランスを入手するか、
国産なら50Wクラスの一次インピーダンス5kΩの物が入手しやすく性能も良いと思われる。
共通カソード抵抗はやめてバイアス回路は2本別々が良いだろう。

次はドライバー回路を検討してみることにする。
  


Posted by はりー at 19:59Comments(0)EL34

2007年09月09日

リップル電圧

ST70の電源回路は5AR4の後に30uF-1.5H-20uFがあり、ここから出力段に電源が供給されている。
これをシミュレーションソフトで解析すると、リップル電圧が2.1V(p-p、実効値750mV)もある。
プッシュプルなので、出力トランスでリップル分は打ち消されて出力に現れないことにはなるが、ちょっと多すぎる。
少なくても、100mV(rms)以下にはしたいところで、コンデンサを増やすかチョークを増やすかあるいはトランジスタによるリップルフィルターを入れたいところだ。
実際、ST70の電源強化用パーツキット(電解コンデンサてんこ盛り)が発売されている。
  


Posted by はりー at 19:06Comments(0)EL34

2007年09月03日

5AR4

ST70の電源には整流管の5AR4が1本使われているが、規格上ぎりぎりというか規格オーバーで非常に苦しいと思われる。
ST70の静止時の電流は約210mAであるが、この状態でもすでに危ないのでないだろうか。
5AR4の最大出力電流は250mA程度である。現代的な感覚からするとここは2本使うのが正解だろう。
当時のスピーカーは能率が高かったので常時大出力で使うことは少なくて問題もなかったかもしれないが、もしかすると意外にすぐ伸びていたかもしれない。
私は電源をダイオードにしようと考えている。  


Posted by はりー at 20:05Comments(0)EL34